ドライヤーによるYLOD修理について

おかげさまで「YLODの原因とその対策」という記事が多くの方の目に触れているみたいですので、そこで書いていなかった「ドライヤー修理」についてジャンクマン的にはどう思うのかお伝えしたいと思います。


ドライヤー修理というのはYLODの簡易的な修理方法として有名です。
本体背面の通風口からドライヤーを当ててハンダクラックの原因となっている部分のハンダを溶かして、再度固まったら起動、というやつです。

Googleで「YLOD」と検索するとサジェストで出てくるので相当な人が検索しているのではないかと思います。

結論から言いますと、ほとんど直らない上にその後の修理での復旧確率が低くなるのでおすすめしません。

本来、全て分解し基板がむき出しになった状態でヒートガンやオーブン、リワークステーションと呼ばれる機械など様々な方法でチップ部分に熱を与えるというのが修理業者での作業となります。

ハンダが溶ける温度は大体200℃~300℃ですので、その温度以上の熱を与え続けなければハンダの再結合がうまくいきません。

ドライヤーは髪を乾かすものなのでそこまでの高温は出せません。

Q01.温風の温度は何度くらいですか?
A01.
一般的には100~110度程度です。
なおJIS(日本工業規格)の規定では、室温が30度で吹き出し口から3センチメートルのところの温度が140度以下と決められています。 
Panasonic お客様サポートより引用 
上記の通り、100℃前後しか熱が出ないのにハンダを溶かすことはできません。せいぜい温めるぐらいのレベルにしかならないでしょう。

YLODになったといってもかなり初期の状態であればそれで起動が出来る事もあるのかもしれませんが、レアケースだと思います。

ぬるま湯でカップラーメンを作るようなものですので、おいしくはありません。

これが第一の理由です。「温度が足りないので直りません」ということです。

二つ目に「(業者での)修理の復旧確率が低くなる」ということについてですが、これは基板の熱を与えてはいけない部分に熱が入ったり、通風口からドライヤーを当てた時に外装が溶けたり歪んだりして分解や組み立てが出来ないのが理由です。

最初の話でも触れた通り、通常は基板むき出しの状態で熱を与える修理を行いますが問題になっているチップ部分以外は熱を与える必要はありません。というか与えるとダメです。

基板には様々な部品があり、ハンダのように高温で溶けるものばかりではないため、
高温すぎて部品が溶ける、壊れるということも起こり得ます。

通常の修理では基板の真上、つまり直角に熱を与えますが通風口から熱を入れるドライヤー修理では基板と平行に熱が入るので狙った部分にピンポイントで、というのが不可能です。

結果として、他の箇所が壊れてしまう、しかもその部分は部品がないと対応出来ないということになりますので弊社での修理では復旧できないということもあります。

また、外装はプラスチックですのでそれが歪んだり溶けたりすると分解作業が出来なかったり、無理に外したとしても再度の組み立てが出来なかったりします。

新たな外装を用意するとなると余計に費用が掛かるので結果として高く付くということにもなりかねません。

どこの家にもあるドライヤーでの修理というのは一見試してみる価値がありそうなものですが、よくよく考えるとそれで直ればジャンクマンは存在していませんよねw

試すのは簡単ですが修理できない状態になってしまうとデータが二度と戻ってきませんので、そこはグッと我慢して修理業者にお任せして頂ければと思います。